オーディンの森
☆ペルシア神話の鴉
え〜今回はペルシアです。
ペルシアっていうとゾロアスター、らしいです(^^;;なんかここらへん、ちゃんと読んだことなくて、情報が自分の頭の中で整理できてないです…(言いきるかっ)そういや私、小学生の頃、ペルセポリスのことをずっとギリシア関連の神殿だと思ってたんですよね…ペルセウスに名前が似てたから(_ _;;ギリシアの神々全然出てこんやん!とか…息巻いていたのも楽しい思い出(;;)
正直に白状すると、私、ゾロアスターが人名ってなことも知りませんでした(- -;;拝火教とも呼ばれるんで、ゾロアスターって拝火って意味くらいにしか思ってませんでしたよ(・▼・;;神話サイトやってていいんかい自分(^^;;
「ゾロアスター(アヴェスタ語ザラスシュトラのギリシア語形による。後期の文献ではザルドゥシュト)はペルシアの偉大な予言者であった。」と図書館で借りてきた『ペルシア神話』(ジョン・R・ヒネルズ 青土社)にあります。……ていうか…そもそもの疑問が「ペルシアってだいたいどこよ?」てのだったりするのがなんとも…(_ _;;はい、イランでしたとも;;無知で申し訳ない;;
え〜そういうわけで(^^;;
ゾロアスターの人となりを知るためにもう少し『ペルシア神話』から引用させていただきます。
「西欧の学者は伝統的に彼の生没年を紀元前六二八〜五五一年のこととしていたが、最近の研究では、彼は紀元前一四○○年と一二○○年の間に生存したことになっている。」
「彼の教義、『ガーサー』と呼ばれる十七編の詩篇の形で伝えられている。これらの詩篇は翻訳が困難である。というのは、ガーサー語で書かれているのは、これらの詩篇だけだからである。」
この「ガーサー」については『世界の神話伝説総解説』(自由国民社)から簡潔明快な説明を引かせていただくことにしましょうか。
「ゾロアスター教神話は同教の聖典『アヴェスタ』および中世ペルシア語文献に記録されている。現存の聖典は原典の四分の一に過ぎない。聖典の最古の部分は『ガーサー』とよばれ、教祖自身の言葉である。ゾロアスター教神話は聖典に基づくものと、ササン朝およびイスラム期初期に中世ペルシア語(パフラヴィー語)で執筆された処分剣に拠るものと分かれている。パフラヴィー語神話ともよばれるこの神話は主として『聖教事典』(デーンカルド)や『原初の創造』(ブンダヒシュン)などに基づくもので、散佚した聖典の不備を補っており、聖典との間に固有名詞の変化などが見られる。」
どうもすんなり神話として理解できないのはペルシアの神話伝説がある意味、ゾロアスター以前と以後と分けられそうだからだと理解してもいいんでしょうかね?
ゾロアスターというと、やはり最高神アフラ・マズダと悪神アーリマンとの対立の構図が有名だと思うのですが、それ以前の古代の神々も存在するようでして、その世界観の違いがペルシア神話を難解なものに(私にとってはですが;;)していると理解するのがいいような…と、思っていたら『世界の神話伝説総解説』にそのものずばり、「神話の三段階」ってタイトルあるがな(^^;;
「ペルシアの神話は歴史的に三つの段階に分類される。最初は古代ペルシア神話、すなわちゾロアスター教出現以前の神話である」と…そのまんまですね;;そういう分け方の理解で間違ってないようです。
こうした古代ペルシア神話があまり有名ではないのはおそらく「記録されることなく更正に語り伝えられ」(『世界の神話伝説総解説』)たせいのようです。この古代神には実に興味深い、わくわくする神々が大勢いますが、それは改めてはしゃぐこととして(^^;;本題の鴉に変化する神について触れましょう。
彼は勝利の神ウルスラグナ。…うーん、なんか名前がかっこいいです(笑)後期の文献ではワルフラーン、ワフラーム、バフラームといわれるそうですが、やっぱウルスラグナが一番…って話はおいておいて;;彼は十の姿に変化します。
一に強い風。
「インド・イラン人のもっとも神秘的な神の一つ」(『ペルシア神話』)といわれる風の神ワユ(ワイ)という神も存在し、ぺルシアではアフラ・マズダも悪魔アンラ・マンユの両者が生贄を捧げたそうですから、この風への変化はあるいはそうした信仰を受けたものなのかもしれないですね。
二に、黄色い耳と黄金の角を持つ雄牛。
三に、黄金の馬飾りをつけた白馬。
四に、鋭い歯と速い足と長い毛を持ち、荷物を積んで大地を踏みつけて進む駱駝。
五に、鋭い牙を持つ、怒り狂う猪。
六に、理想的年齢とされた十五歳の若者。
七に、速く飛ぶ大鴉。
八に、野生の雄羊。
九に、鋭い角で戦う雄鹿。
十に、黄金の刃の剣を手にした勇士。
「彼の化身のうち、巨大な烏と猪の二つがことに有名である。古代ペルシア人は、大烏に迷信的な畏敬の念を寄せていた。羽によって人は侵すべからざる神聖な者になり、栄光と同時に繁栄がもたらされると信じられていた。」(『ペルシア神話』)
「大鴉の羽根を持つ者は敵の呪いをはね返し、羽根の助けによってだれも彼を撃つことができない。彼の前では皆が震え上がる。両軍が合戦して勝敗がつかない時には、両軍の間に四枚の羽根を投げると、最初にウルスラグナ神を崇めた方が勝利を得るという。」(『世界の神話伝説総解説』)
鴉と猪が戦争に関連した聖獣であったことはとても興味深いかもしれないですね。北欧神話に詳しい方ならオーディンの鴉、フレイの猪を思い出されたのではないでしょうか(^^)さらにラグナレクでフレイが武器とした鹿の角も、ですか。
ウルスラグナはまた勝利のシンボル猪の姿でミスラに同行し、ミスラの前を飛んでいくものらしく、これは神武東征の際のヤタガラスを彷彿とさせます。ミスラとは御存知の方も多いでしょうが、かなり広範囲に信仰された神で、説明は難しいです(おい…)。「その信仰は、西方ではイングランドの北部、東方ではインドにまで広がった。」(『ペルシア神話』)ってことなので、ここで簡潔に説明ってのは勘弁してください。しかし、あちこちでミスラとかミトラスとか似た名前を聞くなと思ったらそういうことでしたか。ミスラがローマに入り、ミトラスとしてローマの重要な神となったのだと『ペルシア神話』には紹介されています。
さて、そのミトラス信仰に関してもう一つだけ取り上げておくことにします。
ローマではミトラス信仰は「およそ紀元一○○年から四○○年(性格な年代は不明である)の三百年間栄えた」(『ペルシア神話』)そうで、七段階を経る加入式があったとか。この七段階は全て惑星の神の保護下にあったそうですが、この第一段階が大鴉とメリクリウスの象徴である杖、あの蛇が絡まった杖とコップによって表現されているんですね。『ペルシア神話』ではこの鴉をアポロの鴉を連想させると書いていますが、アポロなら太陽じゃないのでしょうかね。水星とメリクリウスの杖カデュケウスと共にアポロの鴉というのは違和感ありますが、あるいはローマ神話ではアポロと太陽の結びつきは希薄なんでしょうか。確かにローマ神話の元ネタ;;ギリシア神話でも太陽神は別にいますから、太陽との結びつきをそれほど気にする必要はないのかもしれませんが…詳しい方の突っ込みをお待ちしております。
ちなみに第二段階が「花嫁」と呼ばれるが、その語形は男性形(^^;;この守護が木星ならトールの花嫁エピソードをあげつらって大いに喜びたかったところですが、残念ながらこれは金星の守護の下にあります。
第三段階が火星。兜と投槍、それに雑嚢だか牛の足だかなんだかわからないもの(^^;;…だってホントにそう『ペルシア神話』に説明してあるんですもの;;
第四段階が木星。ライオンとスコップと聖具。
第五段階が月。穂と鎌がシンボル。これはペルシア人を象徴しているのだとか。
第六段階が太陽。ここにちゃんと太陽があるんですよね。アポロならこっちだと思いますが…シンボルは松明など太陽を象徴しているもの。
第七段階が土星。ペルシア帽子や鎌、杖などがシンボル。
安易な妄想を広げられるほどにはまだペルシア神話に詳しくないので、紹介に留めておきたいと思いますが、いろいろと想像させてくれる神話ではありますね(^^)
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