春すぎて夏来たるらし蝸牛

三十二、三十四、五度や寒暖計

野分け来て往く日も来る日も鱗雲

空梅雨で一人死にをり蝸牛

大輪の紫陽花の下の潰れ蟹

鷺の飛ぶ河原烏が歩きおり

夢二つ笑うや泣くや春の宵

大鴉よろけて盛りの桜かな

久方のデルヴォー見るや春の雨