オーディンの森

金太郎・雷神・トール 〜 改めて斧

鎚についてはなかなか資料がなくて難航いたしておりますが、ここでは資料豊富な斧について、改めておさらいをしておきたいと思います。

参考にしたのは『世界大百科事典』(平凡社)。ただ、この百科事典、私が子供の頃に親が買ってきたもんで、かなり古い。1972年4月25日初版発行となっております。そこんところは考慮に入れて、読んでくださいね。

で、斧。

以前、広辞苑でも斧の定義についてはやりましたが、百科事典の言うところでは、

用途によっていろいろ形状を異にするが、こんにちでは主として木を切るための道具または木工用具として用いられる。楔作用によって木をきり、または割るもので、刃先の角度は40度くらい。

おおっ、そうか、40度って決まってるのか…って、神話とは関係ないやん(^^;;

鋭い鋼鉄の刃のついた楔形の鉄でできた部分と、長い柄の部分からなる。柄の部分にはふつう、カシ、ブナ、モミ、あるいはクルミ科の植物などの堅い木が用いられる。

まあ、斧の形状のおさらいということで(^^;;

斧のイメージがぼよんとしている方、これでわかりましたでしょうか?

続いて、斧の歴史です。

斧の歴史は古く、その祖形を石器時代の石斧の中に見いだすことができる。おそらく人間によって作られた最初の道具の一つに数えられよう。

この後、斧の具体的な作り方が続きますが、そこは割愛。斧の材料は石だけでなく、貝殻、大形動物の骨などの例もありますが、次第に金属の時代へと移っていきます。

金属の使用とともに斧はまず青銅、つぎに鉄、最後には鉄合金で作られるようになった。最初の金属製の斧の形は石の刃をまねたものであった。

ひええ、そうだったんだ。

斧の形はあらく刻んだ石の一片をつけた石斧から、クノッソスの発掘のさい発見された両刃の斧、あるいは西洋中世の戦斧にみられるようないろいろな形、しばしば半月形をした美しくみがいた刃をもつ装飾用の斧など、いろいろと変遷している。

クノッソスの斧は割と有名かもしれないですね。事典にも写真が載っていて、「クレタ文化期の金製の双斧。クノッソス南方のアルカロコリ洞穴にある祭祀遺跡出土、前1500年ころのもの」と説明がついています。

斧は(略)西洋中世のゲルマン諸族によって武器として用いられている。(略)中世初期のフランク族は戦闘のさい短い柄のついた手斧形の戦斧(フランキスカFranciscaあるいはフランツィスカFranziskaと呼ばれる)を用いた。中世後期には騎士の使用したバルテと呼ばれる短い柄の戦斧や、歩兵隊用の、一方に斧、他方にハンマーあるいは湾曲したくちばし状のとがった刃をつけたものや、投擲用の戦斧などがあった。

(・0・!!斧の後ろのハンマーがついてるのがあったの?!!ハンマー!出てきたよ〜どういうつながりかはまだ不明だけど、斧とハンマー(鎚)が初めて直接的に繋がった記述だな…確かにトールのハンマーは投擲用でもありますよね。投げては確実に戻ってくるし、偶然にしろ、柄が短い…あるいは、あの柄が短くなったエピソードは、投擲用の斧が発明された時代を反映しているってなこともあるのだろうか…

斧はまた多くの民族によって神の象徴(たとえばメキシコのトラロック、セムのアモン、クレタのディオニュソス、ギリシアのアルテミス、アポロン、アテナのごとき)として、またヒッタイトなどにみられるように犠牲を殺すときに用いる道具として、あるいは交換の単位として、またおそらく宗教的礼拝の対象物として尊ばれたらしい。両刃の斧はエジプト神話においては礼拝の対象であり、南クレタのハギア・トリアダの発掘のさいには台の上に斧をのせた礼拝堂が発見された。アッシリアでも斧が礼拝されたらしいことは、その遺物のメノウ製のシリンダー(円筒印章)に刻まれたカルデアの衣装をつけた僧が斧を礼拝している図によって知ることができ、マルタ、キプロス、その他地中海沿岸地方の有史前の聖所からも斧が発見され、大陸においては奉納の斧はしばしば砂岩で作られたなんら実用性をもたないものであった。

ここいらの記述は斧に関する信仰をたどった本には多く引用されていました。斧は武の象徴であり、武は権力を意味し、王の象徴と繋がっていくというのは確か、中国だったと思いますが…うろ覚え(^^;;調べておきます;;

でも、アルテミスやアポロン、アテナに斧、って…全然覚えてないや(おい;;)…

メキシコのトラロックって確か、雨の神?…これもうろ覚え…セムのアモン、うむ、名前すら知らない(- -;;まだまだ当たってない神話は山ほどありますねえ;;何調べてたんだか;;

現在でもコンゴでは斧は聖なるものとみなされており、太陽の踊りの儀式のさいのシンボルとして用いられ、またオーストラリアのある原住民は祖先の精霊の子を女の体にやどらせるために斧で木や石を打つといわれる。このように斧が神聖視されるところから斧による占いも行われ、その方法は斧を森の中へ打ち込んだり、水の中へ投げ込んだりしてなされる。

昔話の金の斧・銀の斧、あれは占いだったのか…

南プロイセンの人々(略)は斧が悪天候のさいに役立つと信じており、プロイセン人は悪い天気を追い払うために斧でドアの敷居を打つ。(略)また斧には魔法を防ぐ力があるとされており、プロイセンでは春の初めに外につれ出された雌牛は魔法に対して不死身になるように斧の上を歩かせられるといわれる。

以上、執筆者は宮本馨太郎氏でした。また、

日本でも山かせぎする人は斧を尊重し、毎朝これをいただいてから仕事にかかる所がある。山にはいって伐木するとき斧立ての儀を行う。木に向かって唱え言をしてのち、斧を木にたてかける。もし、切って悪い木だと斧が自然に倒れる。あるいはこれを翌朝に要って見る所もある。斧の表裏には三つと四つの刻み目をつける。七つ目のある斧を持っていくと魔が恐れるという。三河では裏の四筋を四天王と呼び、山中ではこれを表にして置いてはならぬという。鳥取県の鍛冶屋のあいだには、斧が木こりを守護して大蛇を防いだという伝説が伝えられている。

大蛇…(。。)…ミッドガルド蛇…即つなげたいが、それほど簡単じゃないでしょうね;;この話もどっかで読んだような。四天王の話なんてとても面白いですよねえ( ̄▼ ̄)

以上、執筆者は大藤時彦氏でした。

とりあえず、斧、まとめてみました(^^)

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